酪酸菌って
酪酸菌の概要
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酪酸を生成するクロストリジウム・ブチリカムは、偏性嫌気性芽胞形成グラム陽性桿菌である。クロストリジウム・ブチリカムはクロストリジウム属のタイプ種でもある。
芽胞の形で環境中に広く存在しているが、特に動物の消化管内常在菌として知られている。
日本では宮入菌と呼ばれる株が有用菌株として著名であり、芽胞を製剤化して整腸剤として用いられている。
その一方で醸造食品の劣化の原因になり、また天然にはE型ボツリヌス毒素を産生する株があり、稀ではあるが食中毒の原因ともなる。
なおクロストリジウム属および近縁の細菌には酪酸を生成するものが数多く知られている。
大腸がんとの関連
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腸内細菌が産生した酪酸が、ヒストンのアセチル化を促進し、p21遺伝子を刺激し、細胞サイクルをG1期で留めるタンパク質であるp21が大腸がんをG1期に留め置き大腸がんを抑制することが指摘されている。
酪酸生成能が高いButyrivibrio fibrisolvensをマウスに投与したところ、酪酸生成量が増加し、発癌物質で誘発した大腸前癌病変の形成が抑制され、大腸がんを予防、抑制する可能性が指摘されている